子どもの権利条例

議会傍聴記

「子ども権利条例」がいつのまにか「子ども条例」に
 「子どもの権利条例」は、いじめや虐待、ネグレクト(子育て放棄)、過度の競争社会に曝されているなど子どもの人権が奪われている現実から、それを守るために作られるものです。2006年に市民参加で「子どもの権利条例案」が答申として市長に渡されたのですが、いつのまにか「こども条例」の名称に変更され、「健全育成」の目的となっていました。

 12月5日、厚生文教委員会で、市長の提案した「子ども条例案」について、「前文」から「第1章 総則」、「第2章 子どもにとって大切な権利」、「第3章 家庭、育ち学ぶ施設及び地域における子どもの権利の保障」について審議が行われました。
 冒頭で市長は「この条例は、子どもの健全な成長、育成のために作った」と、述べたことに違和感を持ちました。小金井市の「のびゆくこどもプラン」には『子どもは「子育て」される対象ではなく、自らが伸びやかに育っていく「子育ち」の主体者です。』と、規定されているのです。また、「子どもも大人とともに地域をかたちづくる一人の市民であり、人権を尊重され、家庭や学校、地域などのあらゆるところで《子どもの最善の利益》が考慮されなければいけない」ともあります。これは小金井の大切な行動指針です。このプランを作ったのは市長なのです。なぜ、子どもの最善の利益を支え、自ら伸びゆく力を応援する「子ども権利条例」ではなく、健全育成が目的の「子ども条例」に変えてしまうのか、勝手に市長は変えられるの?と最後まで疑問は解けないままです。
 子どもは大人に守られなければ生きていけない存在なのです。だから、大人に気に入られるよう無意識に自分の感情を抑えたり、親の希望に応えようと、必死に生きてしまうのです。子どもたちのいじめや心の病、若者の悲しい事件の増加は、抑圧された彼らからの警鐘とも言えるのではないでしょうか。だからこそ「子どもの権利条例」を作るのは大人の責任でもあるのです。