★ヤマザクラと他の樹木の共生を~玉川上水の生物多様性を守ろう~
新小金井橋から関野橋までの640mは、「玉川上水・小金井桜整備活用計画」モデル区域です。http://www.city.koganei.lg.jp/kakuka/shogaigakushubu/syougaigakusyuuka/siryou/bunnkazaikakari/meishoukoganeihukkat.files/seibikatuyoukeikakuH223.pdf
市は2010(平成22)年度から12(24)年度に、95本のヤマザクラの苗木を補植。桜の生育を阻害する樹木は伐採するとし、ケヤキの大木など多数の樹木が伐採されました。
周辺の環境は一変。夏の緑陰が失われ車の排気ガスは住宅街を直撃。周辺住民からは、のどの痛み、喘息など体調不良の声も挙がりました。市は「今後はモデル地区以上の伐採は行わない」と説明。
しかし昨年暮れにモデル地区の東側で、突然の『皆伐』が行われたのです。
昭和30年代までのヤマザクラ並木は、堤の両岸に8~10メートル間隔で一列に列植されて柵は無く、花見客が憩い、桜の根も十分に張れる空間がありました。しかし現代、この生育環境はありません。
市は今後も小金井桜の生育を阻害する樹木は伐採する方針であり、赤いテープを巻いた木がその対象です。
桜保護の名目で他の樹木を『皆伐』すれば、逆に排ガスや強風が桜を直撃します。また、桜につく毛虫を食べる鳥も来なくなります。多様な樹木の「共生」が「生物多様性」を育みます。
近隣住民を中心に、「桜以外の樹木の『皆伐』を見直して欲しい」と、東京都や小金井市に署名付の要望書が出されているそうです。
玉川上水は、多摩地域の山林と都心を結ぶ貴重なグリーンベルトです。東京都環境局の『玉川上水歴史環境保全地域』のページにも、「武蔵野の面影を残す雑木林や名勝「小金井サクラ」、及び歴史的土木構造物である素掘りの水路について、可能な限り現況を損なうことなく後世に伝えるよう保全する。」とあります。https://www.kankyo.metro.tokyo.jp/nature/natural_environment/tokyo/area/43_tamagawajosui.html
1月6日には、7日から予定されていたモデル地区の赤いテープを撒かれた樹木の伐採が、市民と都の水道局職員の立ち合いで一本ずつ確認され、「皆伐」からは免れる場面がありました。ヤマザクラの生育を阻害する樹木以外も、伐採対象とされていたことになります。
市は、ヤマザクラの保全や補植に尽力されてきた市民団体と、樹木を少しでも残してほしいと望む住民とがいがみ合うことが無い様に、お互いの考えに耳を傾け歩み寄れる調整の場を持つべきです。