講師:阿部彩さん(国立社会保障・人口問題研究所研究員)
日本の相対的貧困率は15.7%と、先日の新聞報道にもありました。しかし母子家庭の子どもの貧困率は15%どころではない、とも同時に指摘されているのです。
講師の阿部彩さんは、豊富なデーターと共に静かに熱く母子家庭への支援を訴えます。先進国では税や社会保険、児童手当によって貧困を改善させていますが、十八カ国中、日本だけが、社会保障の再分配後に貧困が悪化しているのです。
母子家庭で育つ子どもは4,1%だが、その66%は貧困家庭です。父子家庭の19%と比べても突出して高いのです。諸外国と比べて貧困家庭、特に母子家庭への支援の低さが、格差社会の連鎖を生み出だします。格差や貧困は仕方がない、と納得してしまう従順性や、清貧を重んじる風潮が、負け組みの自己責任だという政策とあいまってその連鎖に拍車をかけている現実は、憤りを通り越し息苦しいばかりです。
どんな家庭環境であっても、子どもがまっすぐに育つ権利は保障されるべきです。全ての子どもに医療、衣食住、高校までの公教育の必要を阿部さんは訴えます。更に公教育でも負担の大きい、学用品代や給食費、修学旅行費などの諸経費も含め、きちんと必要な子どもに届くように支援できる仕組みが必要です。
●阿部さんの著作「子どもの貧困」の書評も、参考までにご紹介します。
http://www.tokyo-np.co.jp/book/shohyo/shohyo2009011101.html